日々雑感2006
受けたご恩はどう返す? (2006年12月9日) | |
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新しい総理大臣が就任してからもう二ヶ月ほど経ちました。世の中の状況もあって、ここまでのところは教育関連の制度を変えていこうとする動きが色濃く出ているように思います。その中身をよく見てみると、根っこにあるのは、「国家は国民に恩恵を与えているのだから、国民は国家の要請に従ってその恩を正しく返す必要がある」という観念のようです。国家が国民に「恩返し」を求めるというのは、私達一人一人が共に生きていくために共通のルールを持ち、守っていこうとする本来の国の形とはどこかズレがあるように感じます。 |
いじめと自殺 (2006年11月1日) | |
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このところ、子供がいじめを苦に自殺したという事件をよく耳にします。いじめも、それが原因による自殺も、昨今に始まった事ではありません。いくら大人が押さえつけようとしても、色々な性格の子がいて色々な状況があるのですから、残念ながらいじめを全く無くすという事は難しいんじゃないかと思います。とはいえ、そのせいで自殺をしなくてはならなくなってしまう子を無くしていく事は出来るんじゃないかとも思えるのです。 |
ワールド・トレード・センター (2006年10月17日) | |
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先日から、9.11の世界貿易センタービルのテロ事件を題材にした映画が公開されています。好き嫌いは別として、近頃のハリウッドらしい感動のヒューマンドラマに仕上がっているようです。今年はあの事件からちょうど五年目ということもあって、いろいろな企画を目にしました。その中で私が興味を持ったのが、新聞に掲載されていた、米国で世論調査をしている民間調査機関の方のインタビュー記事でした。 |
サリン事件、喉元すぎれば傍観者 (2006年10月1日) | |
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先日、オウム真理教元代表の麻原彰晃被告の死刑が確定しました。オウム事件関連のニュースがあると、よく松本サリン事件の被害者である河野さんの記事を目にします。重度の被害に遭われた妻を介護しながら、犯罪被害者の支援対策に尽力されたり、報道被害に関わる運動をされたりしていて、いつも「気の毒になあ」「凄いなあ」という気持ちでその姿を見させてもらってきました。 |
ウチの先祖、ヨソの先祖 (2006年8月16日) | |
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今年もお盆の季節がやってきて、当寺にも大勢の方がお参りになられました。浄土真宗では基本的に個人のお墓は作らない事になっているのですが、個々のお墓を作りたいと言われる方には、できるだけ「○○家の墓」ではなく、「南無阿弥陀仏」か「倶会一処」という銘を入れていただいています。これは「共に一つの場所で出会っている」という意味です。 |
挨拶する子が良い子? (2006年8月2日) | |
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夏休みになりました。近所を歩いていると外で遊んでいる子供達の姿をちらほらと見かけます。そんな時、思いがけず「こんにちは」と挨拶されたりすると、何となく嬉しい気持ちがするものです。近頃の子供は外で会っても挨拶もしないと嘆かれる声をよく耳にしますが、私自身は、しっかりと挨拶をする子供が結構いるもんだなという印象を受ける事の方が多いです。昔の子供達がどんなものだったかを知らないので、もともと子供達にかける期待の大きさが違うということもあるのでしょうか。 |
戦争の危機感 (2006年7月15日) | |
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先日の北朝鮮のミサイル発射事件はまだ記憶に新しいところです。以来、色々な専門家の人が北朝鮮の意図を解説されていたものの、なぜ今あんな事をするのか、どうにもその狙いが分かりにくいだけに、ますます不気味さが募ります。この事件に関連して、中国のマスコミでは日本に対する辛辣な論評が数多く見られるそうです。これを機に日本は国連での発言力強化を狙っているとか、軍事面の増強を図るよい口実ができたので、日本にとってミサイル発射は得であったとさえ言われています。 |
「知らなかった」じゃ済まない事 (2006年6月25日) | |
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このところ毎日伝えられる事故のニュースのおかげで、エレベーターに乗る時はついついメーカー名を探してしまいます。これまではエレベーターの安全性についてなど気にも留めなかったのですが、考えてみればワイヤー一本で空中に吊るされているのですから、その安全性というのは切実な問題であるはずです。自分の命にかかわる事なのに、いざ事故が起こるまではただ漫然と利用していたと思うと、自分自身の無感覚さに驚かされます。自分の事でさえこんなものなのですから、他人の事となったら、なおさら無神経にやり過ごしてきた事柄も多いんだろうなあと改めて思い直させられています。 |
ダヴィンチ・コード (2006年6月13日) | |
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先日、映画のダヴィンチ・コードを見てきました。ちょうどその直前に原作を読んだ後だったので、ついつい比較しながら見てしまったのですが、原作の盛りだくさんな内容を短い映像の中に表そうと随分苦労したんだろうな、という印象でした。さてそれで、ここから先は少し原作のネタに触れる部分が出てくるので、これから原作を読もうと思っている方には注意してもらいたいと思います。 |
国を守るというのはどういうこと? (2006年5月19日) | |
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ゴールデンウィークが終わって二週間ほどになります。近頃は祝日が多くなって、いったい自分が何の日で休んでいるのか分からなくなってしまうことも多いのですが、ご存知のように今月の最初の祝日は「憲法記念日」でした。それにちなんでか、改憲の是非を論じる報道をよく目にしました。国民投票法案が今国会で提出されるかは微妙な状況のようですが、どうやら憲法、特に第九条を改変して、気兼ねなく軍事力を行使できる国にしようという動きが加速してきているようです。 |
死ぬということ、生きるということ (2006年4月15日) | |
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富山県の病院で人工呼吸器が取り外された一件を契機に、「尊厳死」について色々な議論が交わされています。延命治療の是非については、周りの者の負担が大変、何よりもそんな状態で生かされる患者が気の毒だ、という意見もあれば、どんな形でも生きられるなら生きていて欲しい、もしかしたら将来画期的な治療法が見つかるかもしれない、というような、人それぞれの考え方が聞かれます。 |
イスラム法に思う日本の今 (2006年3月26日) | |
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アフガニスタンで、イスラム教からキリスト教に改宗した男性が他宗教への改宗を禁じたイスラム法に反するため、死刑宣告を受けるかもしれない危機にさらされているということです。そこで現在は欧米各国がアフガン政府へ寛大な処遇を求めて働きかけています。 |
西洋の自由主義 (2006年2月12日) | |
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昨年秋にデンマーク紙が掲載したイスラム教の預言者ムハマンドの風刺画に端を発して、イスラム社会と欧州各国の間で様々な事件が相次いでいます。そんな昔の出来事がなぜ今頃になって大騒ぎを引き起こしているのでしょう。どうやら、イスラム社会の抗議に対して欧州各国の新聞が「表現の自由を守る」という理由でこの風刺画を転載した事が対立を深くしたようです。 |
IT長者とマスメディア (2006年1月24日) | |
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某有名インターネット企業の社長が株取引の違反で逮捕され、各報道機関も様々な角度からこの事件を取り上げました。あれだけ時代の寵児ともてはやしていた人物に対して、手の平を返したような批判の嵐には少々驚かされましたが、いくらなんでも、貧しい生い立ちの反動から拝金主義になっていったというような、個人の価値観の形成過程の推測までして批評を加えるのはちょっとやりすぎのように感じられました。 |
実は今年は戦後60年でした (2005年) | |
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あまり大きく取り上げられることはありませんでしたが、今年は日本の戦後六十年にあたる節目の年でもあり、各地で様々な集会が開かれていました。そうした中、私も先日ある講演会で戦争体験をされた方のお話をお聞きする機会がありました。 |