日々雑感2016
ドナルド・トランプ氏 (2016年11月) | |
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次期アメリカ大統領にトランプ氏が選出され、驚きの隠せない自分があります。これまでのアメリカという国に対する私のイメージは、さまざまな個性を持つ人たちが、時には摩擦を起こし、悲しい事件を繰り返しながらも、そこを切り捨てるのではなく包み込んできた、世界にも類を見ない国というものでした。その国の人たちがこういう排他的な判断をしたということで、良くも悪くも特別な国であったアメリカが、他と変わらない普通の国になってしまったようで何か寂しい気持ちがしています。 |
生きることの意味 (2016年10月) | |
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「自分は何のために生きているのだろう」と考えることはありますか?家族のため、会社のため、世の中のため、色々と理由をあげてみるのですが、それが必ずしも自分である必要があるのかと考えると、自信が持てなくなってしまいます。自分が何かのためになっていると思えることは、自尊心を満たしてくれることですから、何の疑いもなく、当たり前のようにそれを追求している私たちですが、そもそも私たちが生きるということは、何かの「ため」なのでしょうか。 |
核を持つということ (2016年9月) | |
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福島の事故以来、私は心情としては原発に反対です。ただ、もしも今後、放射性物質を無害化することが出来るほどに技術が発達し、火と同じくらい人間が使いこなせるようになったとしたら、それでも原発に反対し続けるだろうかと考えると、そうとは言い切れないところがこれまではありました。 |
相模原障害者施設殺傷事件 (2016年8月) | |
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知的障害者施設の入所者が次々と殺傷される痛ましい事件が起こりました。犯人は、障害者のことを、「保護者や施設職員に負担をかけ、不幸を作ることしかできない存在」だと決めつけて犯行に及んだようです。もちろん、この犯罪について同意できるところは一切ないのですが、この犯人の言葉には、私自身がドキッとさせられました。正直なところ、私にも、自分と同じ程度のことが出来ない人を「迷惑」と感じてしまう気持ちが少なからずあります。普段はそういう心と折り合いをつけて生活しているのですが、この犯人の言葉には、他人事でない、自分の中のドロドロしたものをえぐり出されたような気分になりました。 |
熊本地震 (2016年5月) | |
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熊本での大地震で、多くの犠牲者の方が出られています。年を取って涙腺が緩んできたのか、被害の様子を報道で見ていると、いつの間にか目が潤んでいる自分に気がつきました。自分自身では、あまり感情の動きの少ない人間だと、自分のことを思ってきましたが、この震災でまず感じたのが「悲しさ」でした。「気の毒に」でもなく、「何かしなければ」でもないこの思いが、一体どこから湧いてくるのか、自分でも不思議に感じています。 |
認知症事故賠償訴訟 (2016年3月) | |
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十年ほど前、認知症のおじいさんが徘徊中に電車にはねられて亡くなるという痛ましい事故がありました。それをめぐって、家族が鉄道会社への賠償責任を負うかどうかという裁判が続けられてきましたが、先日、家族に責任はないという最高裁の判決が下りました。この裁判をうけて、地域社会が認知症患者や家族を支える仕組みをつくっていかなければという声が上がったり、認知症患者による事故の損害を国が補償する制度を整えるべきではないかという意見が聞かれたりと、社会全体で認知症に対する理解を深めようという気運が高まってきました。これからの世の中のことを考えると、これはとても大切なことだと思います。 |
不倫 (2016年2月) | |
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先月から、世間では有名芸能人の不倫騒動が話題になっています。さすがに、お参りの際にそうした話題をすることはあまりないのですが、それでも、先日面白いお声をお聞きすることがありました。「浄土真宗でも不倫はいけないことになっているの?」というお言葉です。思いもよらない疑問でしたので、考えさせられてしまいました。 |
謝り続ける使命 (2016年1月) | |
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新しい年が始まりました。新たなスタートを切る節目となる時ですが、私たちには、忘れ去ってしまうわけにはいかないこともたくさんあります。福島の原発事故から五年近く経ち、近頃では、停止していた各地の原発も徐々に再稼働が始まりつつあります。確かに、事故が起こらないという前提に立てば、原子力というのは、空気も汚さない理想的なエネルギーに思えます。ただ、あの事故の後に味わった被害の大きさ、特に放射能の影響が無くなるまでの気の遠くなるような年月を思ったとき感じられた恐ろしさが、だんだんと薄れてきているのは、それでよいのだろうかという気がします。 |